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2.人体への影響 |
有害化学物質などの室内汚染物質は、居住者の呼吸によって体内に入ります。吸い込む量は、空気中の濃度によって左右されます。すでにホルムアルデヒドなどいくつかの汚染物質については厚生労働省より「室内濃度指針値」が公表されています。
化学物質が引き起こす症状には「中毒」「アレルギー」「化学物質過敏症」があります。「化学物質過敏症」はアレルギーの千分の一の低濃度でも発症すると言われ、いったん症状が出ると、その後ごく微量でも同じ物質に過剰に反応してしまいます。いずれの症状も、頭痛・目がチカチカする・くしゃみ・鼻水・めまい・息苦しい・イライラする・睡眠障害・吐き気・皮膚炎・関節痛・疲労感など様々な自覚症状があります。
さらに化学物質は人体の免疫系を乱すとの指摘があり、免疫系の機能が低下すると、ガンや様々な病気にかかりやすくなります。
化学物質と人体との関係はまだ未解明な部分が多く、完全に把握するのは不可能に近いと言われていますが、影響の大きいと考えられる物質については徐々に解明が進んでいます。
※ホルムアルデヒドとは
化学式HCHO、沸点−21度の無色でツンとくる刺激臭のある気体です。これを40%程度水に溶かし込んだものがホルマリンと呼ばれる水溶液で、フェノール樹脂・メラミン樹脂・ユリア樹脂・ユリア樹脂などの樹脂、接着剤、塗料やホルマリン漬標本などに代表される防腐・殺菌剤などに安価なこともあり、広く使われています。
厚生労働省の室内濃度指針値
揮発性有機化合物 |
毒性指標 |
室内濃度指針値* |
ホルムアルデヒド |
ヒト暴露における鼻咽頭粘膜への刺激 |
100μg/m3 (0.08ppm) |
トルエン |
ヒト暴露における神経行動機能及び
生殖発生への影響 |
260μg/m3 (0.07ppm) |
キシレン |
妊娠ラット暴露における出生児の中枢
神経系発達への影響 |
870μg/m3 (0.20ppm) |
パラジクロロベンゼン |
ビーグル犬暴露における肝臓及び腎臓等
への影響 |
240μg/m3 (0.04ppm) |
エチルベンゼン |
マウス及びラット暴露における肝臓及び
腎臓への影響 |
3800μg/m3 (0.08ppm) |
スチレン |
ラット暴露における脳や肝臓への影響 |
220μg/m3 (0.05ppm) |
クロルピリホス |
母ラット暴露における新生児の神経発達
への影響及び新生児脳への形態学的
影響 |
1μg/m3 (0.07ppb)
但し、小児の場合は、
0.1μg/m3 (0.007ppb) |
フタル酸ジ-n-ブチル |
母ラット暴露における新生児の生殖器の
構造異常等の影響 |
220μg/m3
(0.02ppm) |
※両単位の換算は、25℃の場合による。
※μg=1gの100万分の1
※ppm=100万分の1 ppb=10億分の1 |
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